
フジアートでは大型フラットベッドUVプリンタの特性を活かして、キャンバスへの大判ダイレクト印刷を行なっています。
(2019.12.19追記)
キャンバスプリントに関するまとめ記事を作成しました。
価格表を含む詳細は下のURLから該当Blogページをご覧くださいませ。
/blog/2019/12/19/84
あらまし
昨年末「自分の作品をキャンバスに出力したいというお客様がいらっしゃる」というご相談をいただきました。お話を伺うと商業写真分野で長らく活躍してこられた写真家の方で、現在はご自身の作品づくりを精力的に行われているとのこと。街中のテクスチャをカメラでクローズアップし「フォトアート」として発表を続けられている笹渕俊氏です。
今回は活動の一環として弊社のUV-IJプリンタでの写真の「印刷」をご指定いただきました。
※注意※
なお本件はパネルへ貼り込んだキャンバスに直接印刷する方法で、キャンバスプリントの中でもかなり特殊な作り方になります。
基本的にはキャンバスのロールに印刷したあとに木枠に張り込む方式をとりますので、
以下お読みいただく際もその旨を予めご理解いただけますと幸いです。
パネルの大きさ
指定のパネルサイズはM40号。つまり652×1000mmです。ご用意いただいたデータは高解像度tifファイルでしたが、この大きさに印刷すると色の階調やディテールが(良くも悪くも)はっきりと出てしまいます。
また、キャンバスを枠に張った状態で印刷を行うため、枠の厚さ(約40mm)をクリアする必要がありました。
通常横断幕の印刷に使用しているLatexや溶剤の印刷機ではなかなか対応が難しいものでした。

ANAPURNAの実力
昨年春に導入した大判UV-IJプリンタ「AGFA ANAPURNA M2500i」は、幅 2500mm(2.5M)
厚さ 45mm
という一般のプリンタでは出力できない印刷が可能です。M2500iの前モデル(2050i)は国宝・平等院鳳凰堂の扉の修復を行った実績もあり、展示環境への影響も極めて少ない出力機です。もちろん解像度も最大720×1440dpiと十分な性能を誇ります。


解像度が非常に高いため、写真のディテールをはっきりと表現できます
多くのUVプリンタは厚さはクリアできるものの、652×1000mmの大きなパネルを平置きで印刷することができません。
その点、ANAPURNAであれば幅・長さともに十分な余力があり、長時間安定した印刷が可能です。2017年現在この機材は日本に数台しかありません。
またパネルは印刷面のたわみや歪みがないよう、厳重な温度管理のもと九州内で特別に制作してもらっています。
[パネル制作および色監修] 小嶋健一(trythink Grid)、本多考男(Orecho Studio) 順不同
UVプリントによる作品づくりの利点
UVプリントの特徴として、印刷後にすぐ加工ができるという点が挙げられます。プリントヘッドの稼働領域を抜けた部分は既にインクが乾いて(硬化して)おり、手で触ってもインクが落ちることはありません。笹渕氏の作品づくりの場合も、フジアートで印刷後アトリエでコート剤を上から塗ったり筆で加飾されたりしています。作品を出力したらすぐに持って帰って追加の表現を考える。そんな新しい表現の仕方が可能となります。
油、アクリルどちらでも加筆可能なので、下絵として写真やデザインを出力したあとにどんどん加飾して作品として仕上げるのも面白そうですね。
blog:キャンバスプリントにアクリル絵の具を塗ってみました

ご提案
フジアートでは新しい表現手法として、UVインクジェットでの制作をご提案しています。機材
AGFA社 ANAPURNA M2500i方式
UVインクジェットプリント特徴
- 縦横2.5M四方の大型キャンバスサイズ(西日本最大級)
- 720×1440dpiの高精細出力(綺麗さ)
対象
アーティスト・クリエイターの方(プロ・アマ問わず)現在はaiやpsd、jpeg・tiffなどの2次元デジタルデータの出力に特化しておりますが、
将来的にはアナログ作品(油絵やテキスタイル等)のスキャニング&プリントも検討しています
psd(Photoshop)の場合、データ解像度は300pixel/inch以上を推奨します
注意点
張りキャンバスの場合、印刷精度保持のためプリント表面の凹凸(枠の反りや狂い)を規定の範囲内に収める必要があります。お問合せ先
フジアート・長瀬(ながせ)までお問合せください。メール、電話またはお問合せフォーム(本サイト右上)よりお願いします。
ご案内
笹渕氏の個展のご案内です。これまで20作品以上お手伝いしてきた作品の一部も出品される予定です。作品のディテールの精緻さを是非間近で感じてみてください。
最後に笹渕氏のご経歴を紹介します(サイトより引用)。
笹渕 俊 フォトアーティスト
1951年東京生まれ。
1969年、18歳でカナダ、トロントへと渡る。
カナダのオンタリオ州立美術大学 グラフィックデザイン学部卒業。
卒業後は写真の世界へと進み、カナダを拠点にフリーランスフォトグラファーとして活動。
主に商品を中心とした商業写真全般を手掛ける。
中でも宝石、時計、化粧品などは撮影に特化したスタジオを設立し数多くの作品を世に送り出す。
またTVコマーシャル制作など他分野でも活躍。
北米リテール アドバタイジング賞をはじめ多くの広告賞、デザイン賞を受賞している。
自身のアート写真作品はトロント、ニューヨーク、ミラノなど世界各地のグループ展にて発表。
1970年代に制作した、モノクロ心象写真の2シリーズ、40数点の作品がカナダ近代写真美術館に収蔵され、永久保存対象となっている。
2010年、日本へと帰国。福岡県久留米市在住。
現在、自身のアート作品「フォトアート」の制作、発表を中心に活動。
街の風景の持つ「質感」を切り取り、そこにある美しさを磨き上げていく作風は、長年撮り続けたダイヤモンドとも共通点がある。
独特な視点によって選んだ街のテクスチャーは、色彩やコントラストといった情報に手を加えることで、本来あるはずの無い景色を映し出す。
写真とも絵画とも観て取れるフォトアートは、対峙した瞬間に人々の想像力を掻き立て、実在と空想の間で幾通りもの美しさを持つ作品となっている。
略歴
1951年 | 東京都生まれ。 |
---|---|
1969年 | カナダ、トロント市に渡る。 |
1975年 | カナダ、オンタリオ州立美術大学(OCAD UNIVERSITY) グラフィックデザイン学部卒業。在学中よりアート写真を始める。 |
1976年 | カナダ、トロントにスタジオを設立。フリーランスフォトグラファーとして活動を始める。 主に、アルバムカバー、ファッション、商品などの商業写真、テレビコマーシャルの制作などを手がける。 |
1990年 | カナダ、トロントに宝石、時計、化粧品などに特化したスタジオ SHUN SASABUCHI PHOTOGRAPHY INC. を設立。 |
2010年 | 日本に帰国。福岡県久留米市在住。 商業写真から離れ、自身のアート作品 フォトアート の制作を開始。 |
展覧会
1975年 | カナダ オンタリオ州立美術館 グループ展 EXPOSURE(トロント) |
---|---|
1976年 | カナダ オンタリオ州立美術館 グループ展 100 YEARS OF OCA(トロント) |
1977年 | カナダ ナショナルフィルムボードオブカナダギャラリー グループ展(オタワ) |
アメリカ ネイクレッグ ギャラリー グループ展 THE CANADIAN CONNECTION(ニューヨーク) | |
イタリア キャノンギャラリー 三人展 TRE GIAPPONESI DAL CANADA(ミラノ) | |
1980年 | 1991年 |
カナダ近代写真美術館主催の展覧会にて世界各地でグループ展 |
2014年 | 日本 ギャラリー群青 個展 A MOMENT IN LIGHT AND COLOUR(福岡) |
2015年 | 日本 ギャラリー群青 カナダの画家サン・ムラタ氏と二人展(福岡) |
受賞歴
オンタリオ州芸術評議会賞(Ontario Art Council Grant)
北米リテール アドバタイジング賞(シカゴ)
インターナショナルデザイン賞(ロサンジェルス)
アートディレクターズ賞(トロント)
ナショナルマガジン賞(カナダ)
他多数