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ターポリンの特徴
英語ではtarpaulin(防水布、防水シート)で、昔は帆布にタールを塗って水兵の上着や船上の防水シートとして使われてきました。キャンプ用品でタープ(tarp)という雨除けのシートがありますが語源は同じものです(tar(タール)+pall(覆い布);諸説あり)。
現在、日本国内ではエステル帆布等を含めた防水性・耐久性のあるシート素材の総称として広義に使われています。こちらの記事では印刷・加工用のターポリンを中心に解説していきます。
メリット
他の素材に比べ、ターポリンがどのような点で優れているか、主に3つご紹介します。
耐久性
多くのターポリンは塩ビ+ポリエステル繊維+塩ビの3層構造となっており、屋外で長期間使用しても劣化が少ない点が特徴です。汚れてもさっと拭き取れますし、手で破ることは難しいです。メーカー・グレード・設置環境等に依りますが、概ね3年程度は雨ざらしの環境でもご使用いただけます。
防炎性
多くの人が出入りする商業施設や店舗、駅・空港でご使用の場合、素材に防炎性を求められる場合があります。火災事故を防ぐため、必要な場所では防炎性のあるターポリンのご利用がおすすめです。
※すべてのターポリンが防炎性を有している訳ではありません
広幅・加工性
紙や布に比べ、生地幅が1800mm・2500mm・3200mm・5000mmと非常に広いのも特徴です。商品写真やモデルの顔に巾継ぎが入らず、1枚でビシッと決まります。また、周囲の縫製やハトメ打ち、ウェルダーによる溶着など加工性にも富んでおり、様々な大きさ・サイズに仕上げることが可能です。
※設備的に広幅で印刷できる印刷会社は限られていますので、大きなものを綺麗に作りたい場合は弊社のような広幅対応の印刷会社をお選びください!
デメリット
メリットばかりに目がいきがちですが、印刷会社として以下のようなデメリットがあることもお伝えします。
重量
同じ大きさの紙や布に比べれば重くなります。弊社で一番人気の防炎2類ターポリンでも350g/㎡ありますので、1.8×3.6Mの幕を作ると約2.5kgとなります。
耐久度の高い素材はもっと重量がありますので(500~600g/㎡程度)、持ち運び用というよりやはりつけっぱなしでご使用いただく用途でおすすめです。軽さをお求めの場合は290g/㎡しかない軽量ターポリンや軽量クロスの取扱いもありますのでご相談ください。
廃棄コスト
使用後のターポリンは基本的には国内では産業廃棄物として埋め立て処分されています。近年では燃やしてもダイオキシンが出ないターポリンやリサイクル研究も進んでおり、弊社でも積極的にメーカーテストに協力しています(近日ご案内開始予定)。
他の素材との比較
ここまではターポリンの概要についてお伝えしてきましたが、他の素材と比較するとどうなのでしょうか。
「ターポリン」と「エステル帆布」
ターポリンと似た素材に「エステル帆布」というものがあります。ターポリンの語源が帆布(主に綿)にタールを塗った防水布というのはご紹介しましたが、その帆布を化学繊維であるエステルで織ったのが現代のエステル帆布です。塗布されているものもタールから主に塩ビ(PVC)に変わりました。印刷用のターポリンとは似た存在ですが、製法や強度が全く異なるため用途は別物です。
項目 | ターポリン | エステル帆布 |
基布・生機 | ポリエステル (フィラメント(長繊維))が多い |
ポリエステル (スパン糸(短繊維糸))が多い |
製法 | カレンダー・ラミネート | ディップ・コート |
価格 | ◎ | ◯ |
強度 | ◯ | ◎ |
カラー | 多い (白・赤・青・黄…) |
少ない (緑・オレンジなど) |
耐久度 | 数年 | 7-10年のものも |
用途 | 仮設表示幕類 簡易カバー・間仕切 |
テント倉庫・トラック幌(ほろ) 野積みカバー |
特徴 | 継続的なバタつきに弱い 安価 軽量 |
バタつきに強い 吸水防止・防汚 UVカット機能付きのものも |
表1:ターポリンとエステル帆布の比較
「ターポリン」と「紙」「布」「フィルム」
ターポリンは紙やフィルムに比べると価格や重量は劣りますが、耐久度や発色性において優位となります。価格についてはチラシ等の紙類が「低単価×多量発注」が必要なのに対し、ターポリンは単価は紙には勝てませんが印刷価格は1枚でも比較的価格が安定しているのが特徴です。
項目 | ターポリン | 紙 | 布 | フィルム |
原料 | ポリエステル等 | パルプ | 綿・麻等 | PVC、PET等 |
価格 | △ | ◯ | ◯ | ◯ |
耐久度 | ◎ | △ | △ | ◎ |
持ち運び | △(大きいと) | ◎ | ◯ | ◯ |
発色 | ◎ | ◯ | △ | ◎ |
生地幅 | ◎ | △ | ◯ | ◯ |
少量生産 | ◎ | △ | △ | ◯ |
表2:ターポリンと紙・布・フィルムの比較
ターポリンの種類
”ターポリン”は”画用紙”くらい広義の単語のため、各メーカーから様々な種類のターポリンが販売されています。
一般的なターポリン
片面印刷用。国産/外国産、防炎/非防炎、薄手/厚手、一般用/高強度用、艶あり/なしなど様々な種類があります。
詳しくは blog:厚いターポリンってないですか?にお答えします
メッシュターポリン
生地が網の目状になっているターポリン。様々な目の詰まり具合や厚さがあります。両面用もあります。
詳しくは blog:メッシュターポリンとは
遮光ターポリン
両面印刷用。街灯フラッグ用には遮光に加えカール防止(抑制)機能のついたターポリンをおすすめします。
カラーターポリン
裏表どちらから見ても色のついているターポリン。赤・黄・青・緑・黒など原色を中心に多くのラインナップがあります。エステル帆布の代わりとして使うこともあります。
反射ターポリン
自動車のヘッドライト等を反射して全面が光るターポリン。高速道路の規制予告幕としてよく使用されます。
詳しくは blog:夜間でも明るく反射する幕・アイテム類作れます!(高輝度反射ターポリン)
不燃ターポリン
基布にガラス繊維を使用した「燃えない」ターポリン。防炎(=燃えにくい)では不足するような場所に使用します。
その他
吸着ターポリン…裏面が吸着層になっており、平滑面に張り剥がしできる
シルバーターポリン…表面がメタリック調
蓄光ターポリン…表面に蓄光層が塗布されている
防音ターポリン…足場に張る防音性に優れたシート
この他にもたくさんの種類がありますが、用途やコストにあわせた選択が大切になりますのでお気軽にご相談ください。
ターポリンでできるもの
弊社で製作しているターポリン製のものを挙げてみます。
工事現場向け
足場シート(養生幕・建築現場シート)、各種懸垂幕・横断幕(ノーマル・メッシュ・反射)、車両幕、タンカン標識、三角旗、社旗・安全旗、腕章、安全掲示板、その他ターポリン加工品など
商業施設向け
タペストリー、日除け幕(オーニングは除く)、バナー、街灯フラッグ、プリントシール機暖簾、バナースタンド、吸着ポスターなど
自治体・学校向け
横断幕・懸垂幕(祝 全国大会出場~系)、タペストリー、インタビューバッグ、ロールバナー・バナースタンド、簡易テント天幕、腕章・たすきなど展示会向け
ロールバナー・バナースタンド、椅子カバー、テーブルクロス、タペストリー、腕章・たすき、吸着ポスターなど
最後に
ひとえに”ターポリン”と言っても多くの種類があることがお分かりいただけたかと思います。
用途とコストに見合った適切な素材選びが安全表示や販促の一番の近道です。そのためには実際に素材を触っていただくことが大切だと考えております。まずは下のバナーから無料サンプルのご請求をお待ちしております。